常に問題やトラブルが起こって運用変更や厳格化が起こる感じのある外国人技能実習制度ですが、2024年11月1日からやむを得ない事情がある場合の転籍(以下「やむ転」と省略)の運用が変更されましたので今回はその経緯と背景について解説してみたいと思います。
発展途上国の若者を日本の企業で有給インターンさせて技能や日本語を習得させ日本の優れた技術を海外に移転し国際協力に寄与するというのが技能実習制度の本来の目的理念だと思いますが、実際には日本人の労働者が雇用採用できない斜陽産業の中小零細企業や個人事業主の人手や労働力確保、賃金待遇を上げないための裏ワザとして活用されているのは公然の事実だと思います。
コロナ前はそれでもなんとか技能実習制度で回っていたのですが、コロナが終わって超円安と物価高騰で稼げなくなった技能実習生の失踪と不法滞在が顕在化、失踪後も以前は不法就労で人手不足解消に寄与していたのに、空き巣、強盗、銅線泥棒などの犯罪に関与し逮捕される元技能実習生の犯罪が連日報道される事態になってしまったのですね。
昔は失踪して不法就労でまだ人手不足解消に寄与していたが、今は犯罪、やむ転要件緩和と就労可能化で技能実習生の失踪減るのだろうか:「職場を逃げ出し、生活費に困り盗みを繰り返す」検察指摘 元技能実習生の男の初公判 | https://t.co/ORdJ1AaGrl pic.twitter.com/e2jhWP8OJn
— OfficeShibata (@officeshibata) November 2, 2024
技能実習制度の大きな欠陥として技能実習生が配属先企業(実習実施者)と給与待遇や職場の人間関係で合わない、トラブルになっても転職(転籍)できないという問題があり、悪い組合(監理団体)や実習実施者は入管や外国人技能実習機構から処分を受けないために技能実習生を強制的に途中帰国させトラブルを事件化させないようにするようですが、中国やベトナム、カンボジアなどの渡日費用や前借金の大きな国から来ている技能実習生はそれを察知し事前に失踪するのですね、まるでキツネとタヌキの化かし合いのような状況です。
元技能実習生の不法滞在ベトナムボドイが山沿いに立てこもって悪さを、昔の中核派セクトのようだがどうやって落とし所を:山あい住宅強盗 ベトナム人2人 松本の事件で再逮捕へ https://t.co/9gc9MvPWyC pic.twitter.com/NtvOA5VE0j
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現行の技能実習制度では技能実習生の失踪や犯罪が食い止められなくなり遂に技能実習制度は一旦廃止され2027年から転籍可能な育成就労制度にシフトすることに決まったのですが、治安悪化が懸念されている今、失踪技能実習生の外国人犯罪を食い止めるために前倒しして現行の技能実習制度でもやむ転を容認したというのが本当のところだと思います。
やむ転容認で技能実習生の失踪が止むかどうかはまだ不明ですが、やむ転の要件が実習実施者の各種ハラスメント、法令違反、契約違反らしいので外国人支援団体にとっては大きなビジネスチャンス到来といった感じ、労働組合も監理団体許可をとって技能実習制度に参入すれば面白いと思いましたがいかがでしょう(苦笑。
「機構には自分たちがやったことを反省してほしい」 。ベトナム人技能実習生にゆすられ70万円も取られるとは、その70万円も税金が原資だと思うけど:“労組脱退促すようなメール” 技能実習機構と労組 和解成立 https://t.co/ZjMv87K36v pic.twitter.com/lPLNyvHiq8
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またお隣の台湾でもコロナ後外国人労働者の失踪が急増、台湾でもやむ転のような制度があり転職希望の外国人労働者が雇用主のセクハラやパワハラを捏造するという事件も度々起こってますので、今後技能実習生を使用する雇用主はボディカムを装着しないといけないかも知れませんね(苦笑。どう転んでも良くならない技能実習制度について語ると最後には笑い話になってしまいますが今回はこんな感じです。【業務週報2024年11月第1週】