相変わらず問題噴出の外国人技能実習生制度ですが今週とうとう「廃止」という報道がマスコミ各社が一斉に、実際には政府が作った外部の有識者会議で「廃止を検討」という報告書が作成されたということらしいのですが、マスコミによる一種の炎上商法で技能実習制度に対する国民の感心の高さ、憎まれぶりがよく分かる現象でした。

現行の外国人技能実習制度は1993年に前身である団体監理型の外国人研修制度が作られ制度が開始したそうで今年で30年、私が記憶しているところですと当時多かった在留資格定住者の日系ブラジル人労働者が賃金待遇的な問題で採用できない企業や業種において2000年代くらいから活用が始まったと思います、外国人研修制度の1年目の在留資格は研修で労働基準法の適用が無く最低賃金も払う必要が無かったのでまともに給料払うと経営が苦しくなってしまうような零細な企業が飛びついたのですね。

外国人研修生の活用が進み人数が増えるとともに当然研修生の失踪や法令違反、労使間トラブルなどの問題が次第に多発するようになり、外国人支援団体やマスコミが「外国人研修制度を廃止しろ」という声が上がり、2010年に入管法が改正され団体監理型の外国人研修制度は廃止されましたが、その代わりに作られたのが今の外国人技能実習制度、看板のすげ替えや焼け太りと批判される所以です。

外国人研修制度が技能実習制度となり法令が整備され研修生が技能実習生となり1年目から最賃とはいえ給料を貰えるようになり失踪や法令違反などの問題トラブルも減るのではと当初思われていましたが、今度はアベノミクスの人手不足を解消するために自民党政権下で技能実習生の労働力としての活用が始まり職種や受け入れ人数の緩和拡大が行われるようになり再び賃金待遇が悪く日本人を採用できない斜陽産業の零細企業やブラック企業が技能実習生を競って雇用し始めたためか再び失踪者が増えるように、アベノミスク下で高額な前借金漬けで来日するベトナム人技能実習生が急増しましたし、当時は難民認定申請すると6ヶ月の就労可能な特活の在留資格が得られたのも技能実習生の失踪と不法滞在化の増加に拍車をかけたような気がします。

このような事態を収拾するために政府は2016年に法的に技能実習生を保護するために技能実習法を作り「技能実習制度の司令塔」という位置付けで監理団体や実習実施者を監理する外国人技能実習機構という立派な役所が2017年に設立されました。これで流石に技能実習制度も適正化するだろうと思われましたが、事態は好転すること無く、失踪者も高止まり、パワハラセクハラマタハラや賃金未払いなどの人権侵害、転売目的の大量畑荒らし家畜窃盗、地下銀行、振り込め詐欺関与、イカサマ博打、殺人事件や誘拐監禁身代金要求事件などの技能実習生の凶悪犯罪まで頻発し技能実習制度自体が犯罪インフラのようになってしまったのです。

ここまで読んでもうお分かりでしょうが、技能実習制度にはいろいろな欠陥や抜け穴みたいなものがあり、そこを制度の利用者や当の技能実習生が掻い潜り、問題が起こると制度の厳格化や手続きの煩雑化も起こるということを常に繰り返しているのですね。私が技能実習制度に関わったのは2008年~2018年位の10年程ですがやはりベトナム人技能実習生が増えた2012年以降いろいろな問題が噴出し結局撤退という道を選んでしまったのですがその選択は間違っていなかったと思います。

昔「ゼロ戦」という太平洋戦争の緒戦時に活躍した日本海軍の戦闘機がありましたが、軍部の過大な性能要求に答えられない当時の技術者がいろいろ妥協した結果、戦地でいろいろな問題や不具合が起こり現場では「欠陥機」と呼ばれていたという話があります。技能実習制度も東京の優秀な官僚や役人が一生懸命考え作っているはずなのに何でこんなに使いづらくて欠陥だらけで何か問題が起きても責任のなすりつけ合いになってしまうのだと思わずにはいられません。誰か説明してください(苦笑)。【業務週報2023年4月第3週】

 

 

 

 

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