先日時間があったので昨年JICAが発行した「2030/40年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書」を閲読、その中に2030年と2040年の外国人労働者の需要と供給予測というシュミレーションというか数値目標があったのですが、あと7年後の2030年には419万人、2040年には674万人というものすごい数の外国人労働者を受け入れないと日本は先進国としての国内総生産を維持できないという厳しい現実に暗然とさせられました。
しかも報告書では現行の在留資格制度でも在留期限を伸ばせば(特定技能2号の事?)それほど「外国人労働者の不足」は起きないとシュミレーションしていますが、実際受け入れの仕事をしている私からすると一昨年172万人だった外国人労働者数を7年後の2030年に最低でも356万人~419万人まで増やすのはかなり無理があるというか至難と言わざるをえません。報告書の中の「外国人労働供給ポテンシャル」の送り出し国にはアベノミスクで人手不足の救世主だったベトナムが入っていますがコロナ禍による生活困難に加え昨年始まった超円安で技能実習生も留学生も日本離れと質の低下が顕著になってしまいましたし、これからますます経済発展するであろうベトナムの労働者が賃金が上がらず物価や社会保険料が高騰する日本に7年後、17年後も来てくれるとは思えないのですが。
転職不可で低賃金で家族の帯同もできない技能実習制度は時代遅れ、転職できるが同一職種内で一号だと家族の帯同もできず永住許可も取れず最長5年しか日本にいられない特定技能の制度もあまり外国人にとっては魅力的で無くなってしまったのかも知れません、技能実習も問題解決のために数年に1回は大きな見直しがされていますし、特定技能の制度は2019年に出来た新しい在留資格なのですが世界情勢や新興国の経済発展、国際人材獲得競争のほうがそれを上回るスピードなのでしょう。
日本で外国人労働者の受け入れが盛んなのは日本人労働者の集まらない斜陽産業で業績不振な中小零細企業なので売り手市場到来で強気になった外国人労働者が賃上げ要求しても応えられないでしょうし、そもそも自動化無人化、DX化を推進し業務を効率化する余力もないようないような企業が多いような気がしますので、今後外国人労働者が受け入れられず人手不足に耐えられず廃業や倒産に追い込まれる企業や産業が増えると思います。
2030年に419万人もの外国人労働者受け入れを可能にするには外国労働者送り出し国を増やすとともに、在留資格制度の大幅な簡素化や優遇措置、外国人労働者の賃上げが必須だと思いますが長くなったのでその話は次回ということで。【業務週報2023年2月第1週】