今の若い人たちは知らないと思いますが今から20年ほど前に「酒田短大事件」という出来事がありました。過疎化が激しい秋田県の地方都市にある日本人学生が集まらなくなった短期大学が留学の在留資格をエサに就労目的の中国人留学生を大量に受け入れ、東京に設置したサテライトキャンパスに移籍させ留学生に不法就労させ社会問題に、結局国が運営していた学校法人に解散命令を出し廃校にという事件です。

当時はまだ団塊ジュニアが若い時で少子化も今ほど目立たず、学校が潰れることもあるんだなとビックリした記憶がありますが、20年後の今少子高齢化が止まらず小中高校の廃校や合併が盛んになる一方、大学や専門学校などの高等教育機関は少子化にも関わらず増え続けるという謎の現象が起き、地方にあったり知名度が無かったり所謂Fランだったりで日本人学生を獲得できない教育機関は留学生の受け入れを熱心に推し進めるというこれまた不思議な現象が起こってしまっているのですね。今考えると酒田短大は時代を先取りしすぎたのかも知れません(苦笑)。

止まらない少子化で高等教育機関の受験や入試も私が学生の頃と大分変わって来ているようで、先日見たニュースでは日本でも大学全入どころか推薦入試やAO入試で受験生の半数が高等教育試験に入学出来、優秀な学生さんは筆記試験による入試も受ける必要が無くなり予備校などの受験ビジネスも規模の縮小を強いられているようです。

こういう状況は他の少子化が進んでいる国でも同様で、台湾でも少子化で学生の数が減り定員割れする大学専門学校が続出、国際化のためではなく経営上ベトナムやインドネシアからの外国人私費留学生を受け入れなければやっていけない私立の高等教育機関が目立って来ている状況だそうです。民進党が推し進める新南向政策も綺麗事や国防上の理由だけでなく、教育機関の学校を助ける一面があるのかも知れません。

このように少子化で学生の減少が進んでいるのにも関わらず日本だと文部科学省、台湾だと教育部の利権や教員や官僚の天下り先ポスト確保のために高等教育の機会提供という大義名分のもと高等教育機関が増えてしまう現状、それに伴い減る学生を補うための外国人私費留学生受け入れは問題があったとしても今後も増え続けるのでしょうね。

少子化で自分が希望する高等教育機関に入り易くなったというのは昔の過度な受験地獄を考えると良いことだと思いますが、これからは在学中も卒業後社会人になっても一生勉強を続け、常に最新の知識や技術を習得し続ける社会になっていくのかも知れません、若い人たちは大変でしょうが頑張ってください。【業務週報2022年8月第4週】