日本人がイランとかイラン人と聞くとおそらく良いイメージより悪いイメージを抱く人のほうが多いと思います。それには理由があり平成の最初のころ東京の代々木公園や上野公園に行くと日本人がアウェー感を感じるほど日本には多くのイラン人が住んでいました。イランは元々産油国で豊かな国だったため日本人の商社マンが出張をしやすいように日本とイランとの間には査証免除協定が締結されていたのですが、戦争で経済が疲弊したイランからバブル経済で人手不足の日本へという想定外の人の流れが出来たのですね。今でいう短期ビザでの来日なので当然不法就労なのですが、当時はまだおおらかな時代でしたので暗黙の了解があり黙認だったのでしょう。

それが1989年に入管法が整備改正され今で言う人手不足対策の定住者の在留資格が作られ、正規の日系ブラジル人労働者が日本に押し寄せるようになると、不法滞在のイラン人労働者が解雇され仕事にあぶれる事態に。1993年頃にはバブル経済も弾け人手不足も解消され食うに困ったイラン人は日本で偽造テレカや麻薬の犯罪に手を染め捕まるものが続出という事態が報道されイラン人の悪いイメージが日本人の頭の中に植え付けられたと記憶しています。

当時日本が人手不足でなりふり構わず受け入れた外国人の労働力が日本経済の悪化と人余りにより地下に潜り社会問題化したという平成初期に起こった在日イラン人の現象ですが、令和の今ベトナム人により再現されているような気がします。

ここ10年近くアベノミクス下の人手不足を補うためにベトナム人技能実習生と留学生の労働力としての受け入れが盛んに行われましたが2020年3月に起こったコロナショックとコロナ不況で人余り現象が起きベトナム人技能実習生の解雇失踪や学費の払えないベトナム人留学生の除籍行方不明が多発、地下に潜ったベトナム人の犯罪の報道が昨年以降急増しました。不法滞在や不法就労、偽造の在留カード使用などの入管法違反に加え昨年は北関東で起きた家畜窃盗事件や日本人高齢者殺人事件、今年に入ってもベトナム人女子留学生の風営法店での資格外活動違反、偽札輸入と行使、無資格医療行為、違法賭博、監禁軟禁強盗事件などの報道が相次いでおり、コロナショックが直撃したベトナム人の在留状況の悪さとベトナム人人材の質の劣化を物語っていると思います。下に最近起こったベトナム人絡みの犯罪の記事を載せておきますので参照ください。

今月新規入国外国人の入国制限が解除されましたので、来年以降またベトナム人の技能実習生や留学生が日本に押し寄せて来るでしょうが、コロナ不況で人手不足が解消されてしまったため以前ほど仕事があるとは思えません。特に母国からの仕送りが無く日本でのバイトで学費と生活費を工面する私費偽装苦学留学生は来日直後から苦境に立たされるでしょうし、仕事の奪い合いになり今よりベトナム人の在留状況が悪くなることが予想されます。現在44万人まで増えた在日ベトナム人が今後増え続けるのか減少に転じるのか地下に潜るのか、これからも見届けていきたいと思います。【業務週報2021/46】

お問い合わせ