特定技能の在留資格が緩和されるというスクープ記事が今週某新聞社から出されました。現状特定技能1号から2号に変更できるのは14業種のうち建設と造船のみなのですが、他の業種も介護以外は2号に移行できるようにし現状2号で最長5年の在留期限を無期限何回でも更新可能、永住許可申請も可能、更には家族の帯同も認めることを入管局が検討という内容です。

特定技能はコロナショックが起こる前年の2019年に出来た新しい在留資格、そもそもはアベノミスク経済で起こった人手不足への対応や優秀な技能実習生を長く雇用したい、技人国の在留資格が取れない留学生を救済したいという思惑で作られたと思うのですが、入管局への変更申請の書類の多さ細かさや受入れのための企業側の下準備が面倒などの問題があり2019年は全くの不調、そのうちコロナショックが起こると今後は入国制限で入国できない技能実習生の代わりに現役の技能実習生を特定技能に移行させる企業が続出という使われ方をしているビミョーな在留資格なのです。私的にみると特定技能=技能実習4号くらいの感覚でしょうか、技能実習制度ありきの特定技能と言っても良いでしょう。

特定技能の制度が出来た当初は2023年までの5年で34.5万人の特定技能外国人の受入れを想定していたそうですが上記した理由や環境の変化で利用率低迷、はっきり言って不人気在留資格で私は廃止になるのではと予想していましたが、ここに来て突然の家族帯同容認や在留期間無期限化検討の報道、穿った見方をすると留学生30万人計画と同様なんとしても計画を達成したいためのテコ入れ及び官僚の功名心や技能実習制度と同様で斜陽産業や人手不足企業の救済策が原動力なのかなと思いましたがどうでしょうか。前の前の日本の総理も日本は移民政策を取らないと言ってたはずですが(苦笑)。

現場作業が出来る外国人労働者である特定技能の外国人の受入れが加速されると影響を受けるというか割を食うのは在留資格定住者の日系人労働者と日本人の派遣労働者や高卒新卒者や主婦のパートでしょう。製造業の現場では日系ブラジル人労働者や日本人派遣社員期間社員が解雇され特定技能外国人に置き換えられたり、日本人の高校生の就職先が狭められたり、日本人の主婦がパートを探してもなかなか見つからなかったりという特定技能ファーストな状況が出現するかも知れません。やはり外国人労働者のほうが安い賃金でよく働く傾向がありますしそれが外国人雇用の動機でしょうし経営者は少しでも人件費を削りたいでしょうから。

また日本は現在国際的人材争奪戦に巻き込まれており、具体的に言うとベトナムやインドネシア、フィリピン、ミャンマーなどの東南アジアからの労働力を韓国や台湾、香港と奪い合っている状況、それらの国々で現場作業単純労働のできる外国人労働者に家族の帯同を認めている国はありませんので今回の家族の帯同の認めるというのは外国人労働者を日本におびき寄せる一つの「目玉」にしようとしているのかも知れませんが、月給20万円前後の特定技能の外国人が子供を日本に呼び寄せるとかつての日系ブラジル人子弟で起こったような問題が起きそうな気もします。

台湾は日本と同じく今月新規入国外国人労働者の受入れ再開を表明しわずか1週間で7名のインドネシア人介護ヘルパーを入国させるという早業を見せてくれました。日本は新規入国外国人の査証発給に審査済証の写しを要件としたためもたついている状況、もともと日本は外国人を受け入れる才能なんか無いはずなのに無理してと思いながらも今後もこの問題注目していきたいと思います。【業務週報2021/45】

参考資料:出入国在留管理庁特定技能制度運用状況