今まで新型コロナウイルスを抑え込んでいた台湾ですが、先月5月ころから陽性者や死者が目立つようになりあっという間にレベル3の警戒体制となり1年遅れでコロナショックが。目立つのは外国人コミュニティーや外国人労働者の宿舎や職場でのクラスター感染で台湾政府や自治体、雇用企業や支援団体の対応や対策は日本でも参考になると思いますのでいくつか紹介したいと思います。

-台北の歓楽街でのクラスター感染
まず最初に台北の萬華という歓楽街でクラスター感染が発生しました。この地区はいわゆる「接待を伴う飲食店」や風俗店が多く、台湾人男性と国際結婚し来台したアジアからの外国人妻、離婚しシングルマザーとなった外国人女性、そして勤務先を失踪し不法滞在となり密入国した外国人女性がホステスやセックスワーカーとして働いていると言われているところです。違法な事に従事していたり不法滞在者だと体調が悪くなったりコロナに感染しても検査も治療も受けにくく、またクラスター感染後当局の摘発が入ったためそういう女性たちが台湾各地に逃げて四散し台湾中部南部にコロナを拡散する結果になったと言われています。

-台中の外国人ビルでのクラスター感染
台中に東協廣場(ASEAN SQUARE)という外国人労働者の商業施設が多く入居し、週末外国人労働者のたまり場となっているビルがあるのですが、そこでもクラスター感染が発生。発生源は意外にも台湾人の大学生グループの徹夜カラオケだったのですが、結局ビル全体が営業停止に追い込まれ外国人労働者の居場所が無くなりたまり場が四散しこれまた当局の把握がしにくくなった結果に。

-苗栗の半導体製造企業でのクラスター感染
苗栗縣の北部、新竹と隣合わせた半導体や電子部品の製造拠点が集中立地する竹南地区の工場で働く外国人労働者の複数の宿舎で外国人労働者のクラスター感染が発生。現在世界的に半導体不足が問題になっているためか、当初企業側は生産を続行しようとしましたが台湾政府が外国人労働者の隔離を要請、苗栗縣は外国人の外出禁止令まで発令し現在コロナの抑え込みに躍起ですが、外国人支援団体は人種差別、人権問題だと反発し署名運動が行われております。

日本でも外国人のコロナ感染、外国人コミュニティーでのクラスター感染が問題になっていますが、いくら外国人労働者の母国語や多言語で周知や啓蒙活動しても、留学生や技能実習生のように相部屋、学校や職場も詰め込まれ三密という生活環境ですと日本人より感染する確率は大きくなってしまうような気がします。また外国人労働者は若いのであまり感染防止にも気を使わなかったりする一方、日本人や台湾人の中高齢者はコロナに感染するといろいろ危険なのでルールを守らない外国人やクラスター感染を発生させる外国人コミュニティーに対する憎悪やヘイトが形成されてしまうのでしょうね。その尻拭いをさせられるのも政府や行政なのでしょうが。

日本でも台湾でも以前からいろいろな問題が起こっている外国人労働者や留学生の相部屋宿舎や寮が禁止され1人部屋になればコロナ感染リスクも低減するのでしょうが。逆に言うと相部屋生活を強いられる日本や台湾にはコロナの問題が解決されるまでは来ないほうが良いのかも知れません。コロナによりやってくる外国人と受け入れる社会との間で断絶が起こってますし。今後もこの問題注目していきたいと思います。

【業務週報2021/23】