日系4世ビザの制度設計のまずさを指摘する在日ブラジル人向けのフリーペーパーの特集。年末ブラジル出張予定なので現地で日系人の意見を聞いてみたいところ
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先日入管の長い待ち時間に懇意の同業者と情報交換したのですが、やはり話題は特定技能と日系4世ビザの迷走と利用率低迷の話題に(苦笑)。どちらも数値目標を掲げたのに関わらず共に許可数は現在人数枠の1%らしいです。
今年4月に始まった特定技能の場合、日本と送り出し国との間の二国間協定の締結や条件整備の遅れ、申請書類が多く審査に時間がかかっていることや、送り出し国の消極的な態度、転職や引き抜きへの不安感などによる雇用主側の「様子見」状態が続いているようです。日本に戻って来たい元技能実習生や日本に在留し続けたい技人国ビザが取れない留学生は多く需要はあると思うのですが。
日系4世ビザの受入れは2018年7月に始まりましたが、日本語能力試験N4合格とハードルは高い割に最長5年しか日本に在留できない、家族の帯同不可、30歳以下の年齢制限が日系4世側の反発を食い申請自体が少ないような気がします。N4と言っても日本語が全く分からない初学者の場合合格レベルに達するのに1年以上はかかるでしょうし、それくらい学習意欲がある人間なら留学で日本に来るでしょうから(苦笑)
1991年の入管法改正の時は定住者の日系人労働者が日本に押し寄せバブル期の人手不足を救ってくれました。今回のアベノミクスによる人手不足がいつまで続くかわかりませんが、人手不足解消は特定技能でも日系4世でも無く、技能実習生と留学生が担っていくような感じがします。人手不足が宿泊観光などのインバウンド業界や外食、介護など日本語能力が必要となる職種で進んでいますし、特定技能の在留資格は同一業種内の転職可能という点で賃金待遇の良い会社、地域に収斂してしまうということになり、人手不足解消の切り札にはなりえないでしょうから。
結局技能実習、特定技能などの人手不足対応要員としての単純労働の外国人労働者の場合、どの業界でも賃金待遇をそう上げられないという事情がありますし、アジア諸国の賃金相場も上がってきているのでいずれ行き詰まるのが自明の理のような気がしますが。10年後20年後を考えるとAIやロボット、省人化無人化ができる業種ならそちらのほうがという感じがします。
人手不足とそれを補う技術革新って表裏一体の関係にあるのですから。【業務週報2019年10月第4週】