定住者の在留資格が取れない成年既婚の日系4世を受け入れるための制度が30歳の年齢制限、最長5年の在留上限、家族の帯同不可、そして入国時のJLPT N5相当という日本語要件などの理由で利用が低迷していた問題ですが、先日ようやく進展が。年齢要件が緩和され、4世特活で入国後JLPT N2を取得すれば3世同様定住者への在留資格に変更でき、家族の帯同や永住許可申請も可能となるようです。

先月ブラジルに出張したときも現地の送り出し旅行社と4世の在留資格のことが話題になったのですが、ブラジルはコロナは終わりましたが経済や雇用が悪く治安の良い日本で就労生活したい日系人が多いのに4世ビザの要件がネックになっているということでした。ただブラジルの日系社会も今は5世6世の世代なので今更感は拭えませんが。

今回何故唐突に日系4世の受け入れ拡大を政府や入管がほのめかしたのか、やはり技能実習制度廃止の噂との関連があると思わざるをえません。廃止は無いと思ってますが新制度は今までより厳格化され使いづらくなるでしょうし、円安と物価高騰、そして台湾韓国などとの国際人材争奪戦で技能実習生や特定技能外国人も質の劣化が著しいですから廃止前に内部崩壊寸前のような状況、技能実習生プラスワンみたいな感じで労働力としての日系4世の受け入れ拡大が決められたのかも知れません。

ただ現在20数万人いるブラジルフィリピンペルーなどから来ている日系人を見ているともともとデカセギなのと転職が自由なので賃金時給の高い製造業、特に時給が高く夜勤残業の多い自動車関連の工場での就労を好む傾向が強く特にブラジル人は東海地方に集まってしまっている現状があります。技能実習生みたいに最賃レベルの低賃金で地方や衰退斜陽産業、ブラック企業には定着するとは到底思えません。

新制度では日系4世が日本で定住永住するためには入国時N5相当の日本語能力を5年以内にN2にまで高める必要があるようですが、これも在日ブラジル人を見ていると相当困難であるような気がします、愛知県には6万人を超える日系ブラジル人が居住しており、ブラジル人コミュニティーも大きくコミュニティー内に住んでいれば日本語使わずポルトガル語だけで生活や就労も可能ですから。家族の帯同を認めると子弟の教育問題が発生しますが南米人の場合はという問題もありますしね。

今回の日系4世の受け入れ拡大は朗報には違いないのですが、いろいろ懸念点や心配事があることも確か、今後もこの問題注視していきたいと思います。【業務週報2023年6月第3週】

日系4世ビザと特定技能の利用率低迷問題

サンパウロで日系ブラジル人労働者送り出し旅行社を訪ねる

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