先日ブラジルサンパウロ市で行われた「日系4世受け入れ制度説明セミナー」をオンラインで視聴させていただきました。大変便利な時代になったと技術的には感心しましたが、セミナーの内容については失望感を感じるとともに日本側とブラジル側に大きな温度差を感じる結果に、やはり外国人労働者の受け入れはコストで選ばれ利権が優先されてしまうということを再認識させられました。

少子高齢で労働者不足の国家はどこも人手不足解消を補うために外国人労働者の受け入れが盛んですが、どこの国でも日本でいうと日系人のような還流移民の受け入れが優先され行われていますし一般の外国人労働者よりビザや在留資格の取得において優遇されています。日本でも日系人に与えられる「定住者」の在留資格は就労制限が無く、家族の帯同や永住許可申請が認められているので「技能実習」や「特定技能」より優遇されているのは間違いないと思います。

一方日系4世に与えられる特定活動の在留資格は在留期間最長5年、家族の帯同不可、日本語能力N5相当という「技能実習」や「特定技能」と同じような要件や条件が付けられ、利用者がほとんどいないという状況に陥ってしまっています。結局1990年の改正入管法をもとに日本人の曾孫の日系4世は日系人で無いので定住者の在留資格が与えられないという判断を日本政府や法務省がしていると思うのですがそれも時代にそぐわなくなっているような気がします。

例えばお隣の韓国では749万人を超える「在外同胞」がいて韓国で就労可能な在外同胞VISA(F-4-12)の取得が可能なのですが、2019年に在外同胞の範囲が拡大されて従来は3世までしか取れなかった在外同胞VISAが4世以降も取得できるようになりました。日系4世以降に定住者の在留資格が与えられない日本より韓国のほうが対応が早いですし労働力不足やもっというと2700年に韓国人が絶滅してしまうという超少子化に危機感を抱いていると思うのですが。

技能実習生や特定技能外国人を受け入れても労働力不足の解消にしかなりませんし、日本の賃金上昇を阻害し日本人の雇用を奪い少子高齢化の妨げになっている現状を考えると、技能実習制度のような利権にはなりにくい日系人の受け入れを進め少子化を改善していかなければ日本民族も数百年後に絶滅すると思いますが。

日系4世特定活動の在留資格についての経過と問題点は今までも何度も話題にしているので下のリンク記事を参考にしていただければと思います。【業務週報2023年2月第3週】

日系4世ビザと特定技能の利用率低迷問題

日系4世の在留資格というボタンの掛け違い

日系4世ビザ要件緩和と日系人労働者雇用のすすめ