今年3月から顕著になった円安による悪影響の一つですが、報道を見ているとどうやら外国人労働者の日本離れや日本回避が本格化してきたようです。

特にここ10年人手不足解消を担ってきたベトナム人技能実習生ですが超円安による物価高騰で貯金や母国への送金に回せるお金が減った上に送金しようとすると円安で母国で受け取れる額が目減りしてしまうという泣きっ面に蜂状態で日本での就労に対するモチベーションが低下しているようで、いろいろな労使間トラブルを聞くように。

ベトナム人労働者の場合、日本がアベノミクスで技能実習制度の活用を始めてから台湾と人材争奪戦が繰り広げられており、当初は日本のほうが賃金が高く人気があったのですが、日本の賃金所得がここ10年それほど上らなかったのと比べ台湾は民進党政権になってから政府主導の賃上げに取り組み、更に1台湾ドル=約5円という今回の超円安と台湾ドルで為替で日本と台湾の賃金が逆転するという数年前に危惧されていた状況が現実のものに、台湾も少子高齢社会や半導体景気で超人手不足なのでベトナム人労働者や留学生も日本を回避し台湾を目指すようになるのかも知れません。

表題にある「外国人が日本を見捨てる時」ですが、私は2回経験したことがあります。一度目はリーマンショックで派遣労働者の日系ブラジル人労働者が大量に雇い止めに遭った時ですが、この時2008年春頃にはすでに製造業で人員整理が始まっており雇用の調整弁である日系ブラジル人が解雇されたり、募集や採用がかからなくなっていました。そして9月にリーマンショックが起き日系ブラジル人労働者の雇い止めが始まりました。2009年3月にブラジル人労働者は一旦解雇され雇用保険生活に、4月から厚労省が30万円の帰国支援金を受け取って母国に一旦帰国するか就労準備研修を受けて日本で再就職するかという二者択一を突きつけられブラジル人の日本出国ラッシュが始まりました。帰国支援金を受け取ると3年間日本への入国不可という条件があったので自主的に帰国したブラジル人のほうが多かったのですが、2007年のピークに31万いた在日ブラジル人が2015年には17万にまで減少してしまいました(2022年には20.7万人まで回復)。

もう一つの「外国人が日本を見捨てる時」は2011年3月11日の東日本大震災の時、当時まだ外国人が日本から出国する時は再入国許可が必要だったので3月14日の月曜日には入管局で再入国許可を求める外国人が大行列を作ったことを覚えています。再入国許可を取らずに母国に避難した外国人も多かったそうで後から救済措置も出ました。放射能による風評被害で外国人旅行客もしばらく日本に来なくなり夏くらいに親日家の台湾人旅行客が震災後初めて日本にやってきてようやく回復したのですね。

賃金は上らず物価ばかりが上がるという苦しい状況の中今回の超円安で外国人労働者の日本離れや日本回避が実際に起こるのか注視していきたいと思います。
【業務週報2022年11月第1週】

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