3月1日より新規入国外国人の入国制限が緩和され、特段の事情に該当する外国人の範囲が拡大されたのにも関わらず3号の定住者の在留資格の日系3世が自由に日本に入国できない問題について書きたいと思います。

コロナ禍でも一定の新規入国外国人については「特段の事情がある」という解釈により入国制限の例外が設けられていました。具体的には日本人と国際結婚した外国人配偶者や日本人と血の繋がりのある日本人の子どもの日系2世、永住者の配偶者や子ども、入国目的に公益性のある興行の外国人スポーツ選手や外タレ芸能人、去年行われた東京オリンピックに出場した外国人選手や関係者なども公益性を理由にした特段の事情による入国でしょう。その特段の事情の中で定住者は「定住者の配偶者又は子で、日本に家族が滞在しており、家族が分離された状態にあるもの」という条件付きで入国制限の例外とされていました。つまり5号の日系3世の配偶者、6号の未婚で未成年の4世は入国制限中でも入国を許されていたのですね。

ところがおかしなことに3号の定住者の日系3世だけは特段の事情に該当せず入国できないという事態が続いていました。昨年11月に入国制限が一時解除されたときも日本での雇用先が決まっていて審査済証が入手できる日系3世は入国できるようになりましたが、家族や親類の呼び寄せで来日する日本での雇用先が決まっていない日系3世は事実上来日できないという事態に。今回の入国制限解除ではそのようなおかしい状況が改善されるかと思ってましたが、またもや日系3世にもERFSの受付済証がないと日本の在外公館で査証(ビザ)が出ないという前回と同様の堂々巡りに。100%外国人の留学生や技能実習生はガバガバ入国させ日本人の孫の日系3世は日本での雇用先が決まってないと入国させないとは一体日本政府は何を考えているのでしょうか。

思うに定住者の在留資格は留学や技能実習と違い公的扶助(生活保護)が受給できる在留資格、日本での勤務先が決まらぬまま査証を発給して来日後も勤務先が無く生活保護を受給され日本政府や法務省、入管局が責任を追求されるのを恐れているのではと想像していますがいかがでしょう。2009年のリーマンショック後の派遣切りの際も大量の日系ブラジル人労働者が雇い止めになり帰国支援金まで配って帰国させた苦い思い出が制度を作った官僚の中にはあるのかも知れません。雇う日本の企業も日系人労働者より安くて若い技能実習生や特定技能外国人を好むようになってしまいましたし。

この日系3世を日本に入国させないためとも取れる日本政府の施策はブラジルの日系社会でも問題になっていて日本で発行されている在日ブラジル人のためのメディアやブラジルの日本語メディアでも大きく取り上げられました。「遠くの親戚より近くの他人」という諺が日本にはあるので「遠くの日系人より近くのアジア人労働者」と日本人は考えるのかも知れませんが、近くのアジア人にも安い日本とソッポを向かれつつある今、日本と縁や血の繋がりのある日系人を大切にしたほうが良いと思いますがいかがでしょう。【業務週報2022年3月第2週】

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