先日NHKスペシャルで「夢見た国で~技能実習生が見たニッポン~」というコロナ禍で生活困難、帰国困難に陥った技能実習生たちの特集が組まれたので視聴させていただきました。
いろいろ問題がありバッシングを受けることの多い外国人技能実習制度ですがコロナ禍で更に状況が悪化、実習先が倒産したり業績が悪化したりで解雇されたり失踪するベトナム人労働者が急増、それでもコロナ禍で母国に帰国できないベトナム人技能実習生のために入管が「帰国困難特定活動」という特例で転職就労できる在留資格を創設したところ、ベトナム人技能実習生の退職転職失踪に拍車がかかり混乱が起きているという内容がまず放送されました。
次に失踪したベトナム人技能実習生の中には仕事が見つからず犯罪に身を染めてしまうものや、生活困難に陥ったベトナム人をターゲットにベトナム人向けヤミ金融業者が出来て大儲けしてしまったり、また重い病気になったのに90日の短期滞在の在留資格しか与えられず健康保険の適用外で治療費で日本で借金が膨れ上がるなどの事例が紹介され、最後にベトナムの経済成長や日本の超円安でベトナム人技能実習生の確保が難しくなってきているという内容でした。
コロナ禍で苦境にあえぐ技能実習生の状況を地上波の日曜21時という黄金時間に放送し日本国民に知らしめるというのは良い試みだと思いますし、内容も良かったと思いましたが1箇所違和感が。というのは放送された内容や事例はすべてベトナム人技能実習生だったので、タイトルは「夢見た国で~ベトナム人技能実習生が見たニッポン~」でなければならないはずですが、なぜ「ベトナム人」という単語が抜け落ちてしまったのか、あるいは何かの理由があり故意に省略したのかも知れませんね。
団体監理の技能実習制度は現在16ヶ国から技能実習生を送出してもらっているそうですが、技能実習制度はもともとは儲けてはいけない非営利のはずで商売っ気の無い業界でした。それをベトナム政府だけが渡航費という名目の高額な前借金を技能実習生から徴収することを黙認し人材ビジネスみたいになってしまい送出機関と送り出されるベトナム人技能実習生が急増、来日するベトナム人技能実習生も高額な前借金を取り返そうとしますが実習する日本の企業が中小零細でベトナムで聞かされていたほど稼げなければ失踪して不法就労、仕事が無くなれば違法なことまでやってというカオスな事になっているのですね。
ベトナムもここ10年で経済成長し超円安や賃金の上がらない日本との賃金格差は縮まる一方、半導体景気で残業規制の少ない台湾のほうがベトナム人労働者も稼げるような状況で優秀なベトナム人労働者が日本を目指すとは思えません。リーマンショックや東日本大震災で来なくなった中国人技能実習生の代わりに受け入れが始まったベトナム人技能実習生ですが、そろそろ受け入れや受け入れ方を再考する時なのかも知れませんね。
【業務週報2022年6月第3週】