ようやくコロナ騒動が収まった台湾で今度は在台ベトナム人が母国から密輸した豚肉食品からアフリカ豚熱ウイルスが検出されまた大騒動に。
台湾のベトナム人コミュニティーに豚コレラ感染の可能性のある豚肉が出回っている問題で台湾移民署が2日で437のベトナムショップやレストランを調査という報道。台湾の役所は仕事が早い:移民署追非洲豬瘟肉 2天查全台437處小吃攤、扣52公斤肉品 https://t.co/IFWvCjKC9V pic.twitter.com/jcs9JPL8pa
— OfficeShibata (@officeshibata) August 25, 2021
日本でもベトナム人労働者の郵送による密輸事件が最近目立ちますが麻薬が中心だと思います。これは出入国制限で従来のハンドキャリー密輸が出来なくなったのと、若者中心で数が増え質の落ちた在日ベトナム人コミュニティーの中で麻薬の使用と需要が高まったのと売値が高く密輸者が儲かるのが原因だと思いますが、台湾だと何故か肉製品なんです。台湾にも肉製品は売っていますし、当然台湾国内製のほうが輸入製品より安いのにも関わらずです。では何故台湾に住むベトナム人は肉製品を密輸入するのでしょうか。
台湾で問題になっている豚コレラ感染の疑いのあるベトナム肉製品問題で、台中市役所がアセアンスクエアで外国人労働者に産地不明の肉は買わないようにという注意喚起という報道。これは営業妨害だろう(苦笑):籲移工別買來路不明肉品 市府舉看板 https://t.co/FQ8lJccEBe pic.twitter.com/0H0mxayliP
— OfficeShibata (@officeshibata) August 28, 2021
在台ベトナム人数とその類別
私の調べですと台湾には現在外籍移工と言われる日本の技能実習生のような3K労働に従事するベトナム人労働者が243734名(2021年7月)、台湾人と国際結婚して来台した新住民のベトナム人妻が111462名(2021年7月)、ベトナム人留学生が17534名(2020年)で統計上では少なくとも372730名のベトナム人が台湾に住んでいると思われます。統計で現れない数字として帰化し台湾国籍となった元ベトナム人が数万人、不法滞在や密入国したベトナム人も数千~数万人もいると推測されます。日本に住むベトナム人が448,053名(2020年末)ですからほぼ同数のベトナム人が台湾に暮らしており大きなベトナム人コミュニティーが台湾で形成されていると言えるでしょう。
日本に住む約44.8万人のベトナム人の半数以上は技能実習(約16.2万人)と留学(8.1万人)の在留資格で日本に滞在していますが技能実習は日本での活動内容が指定(制限)され転職も原則認められず、特定技能以外の在留資格に変更しずらい、留学も日本での活動内容が指定(制限)され、卒業して技人国の在留資格に変更するまでは自由が効かないという特徴があります。台湾も外籍移工は職種や転職に制限がある一方、ベトナム人妻は日本の日本人の配偶者等の在留資格と同様台湾の活動に制限が無いため台湾での自由な活動が可能です。
台湾に溢れるベトナムショップとベトナム料理店
台湾に11万人ほど住むベトナム人妻ですが、ベトナムショップやベトナム料理店を営んでいる人が結構います。ベトナム人女性はバイタリティーと経済的自立心がありますし、母国の家族への仕送りのため、台湾人夫と離婚してしまい生活のためなどの理由でベトナムショップとベトナム料理店を割と安易に開くのですね。こういう状況でベトナム人経営のベトナムショップや料理店が台湾中に溢れるような状況となり、私が観察していても明らかに過当競争だと思いますし価格競争になってしまっていると思います。そのベトナム人経営のベトナムショップが商材として密輸品のベトナム製肉製品に目をつけ、またベトナム人妻経営のベトナム料理店も原価削減のために密輸の安いベトナム製肉製品を使用していたというのが今回の騒動の原因ではないでしょうか。
ベトナム人労働者の故郷の味
また報道を見ていると密輸品のベトナム製肉製品を「お客のベトナム人が欲しがった」と言うベトナムショップ経営者がいました。台湾産の肉製品はベトナム産のものと味そのものが違うみたいですし、正規の輸入品は価格が高い、台湾に来たばかりのベトナム人労働者は故郷の味に飢えている。こういう事情は何となく理解出来ますが、アフリカ豚熱ウイルスの台湾流入を阻止しなければいけない台湾政府や変なウイルスを台湾に持ち込んで欲しくない台湾人の気持ちとは立場と意見がぶつかってしまった形ですね。
かつては犬猫食事件も
最近はあまり話を聞きませんが、昔はよくベトナム人労働者が台湾人の飼い犬や飼い猫を盗んで食べてしまうという事件が発生しました。台湾にも昔は犬食猫食文化があったそうですが今は流石に食べる人はいませんし、まさか愛玩動物を食べてしまうというベトナム人労働者の行為に台湾人は恐れ慄いたり、炎上したりという状況でしたが、今考えるとベトナムの犬食猫食文化と非犬食猫食文化との文化の衝突であったのかも知れません。
多元社会を標榜する台湾がどこまでベトナムやベトナム人の文化や行動を受け入れられるか、今後も注視していきたいと思います。【業務週報2021/35】