コロナによる渡航制限で毎年ちょくちょく行っていた台湾に昨年は一回も行けず、今年になってもいつ訪台できるのか不透明な状況が続いており、ネットで毎日台湾のニュースをチェックしウサを晴らす日々が続いております。

日本で日本語で流れる台湾ニュースですと台湾政府の若きデジタル担当大臣のオードリータン氏が注目を浴びているようですが、現地の台湾ニュースではほとんど露出が無く違和感を覚えます。相当のユニークな人物で天才のようですが、日本におけるオードリータンバブルには何か陰謀や圧を感じるのですが(苦笑)。

台湾でここ数ヶ月話題になっている人物と言えば「台中五寶爸」でしょう。日本語にすると「台中に住む5人子持ち男」ですが、台中五寶爸と彼を巡る環境や状況は日本人が知らない台湾や台湾の社会病理をよく表していていると思いますのでちょっと紹介してみたいと思います。

台中五寶爸が台湾のメディアで注目され始めたのは昨年2020年の年末、子供が5人もいて仕事に行くことが出来ない台中五寶爸が生活に困窮しネットでベビーカーを売り出したのを「詐欺ではないか」という噂が立ちマスコミが本人に直撃取材、台中五寶爸夫婦が20代でほぼ年子で5人の幼い子供がいることが事実であることが判明し、生活に困っているということで逆に寄付や支援が数多く届けられるようになりました。寄付好きなのは台湾人や台湾社会の特徴だと思います。

一方、台中五寶爸の悪い噂や行いも次々と明らかになり、寸借踏み倒し、無免許運転常習、罰金未納、仕事が続かない、母親が服役中、兄弟も生活困窮者などの事実が判明、マスコミが格好の記事のネタとなり大炎上する事態になりました。台湾のマスコミは読者のタレコミ情報を買い取って記事にして、台湾人はそれを見て炎上、攻撃するのですね。

台中五寶爸の元にはマスコミの取材が押しかけ、台中五寶爸は連日釈明会見や謝罪に追われるようになりましたが、人情味がある洗車の会社の社長が良い給与待遇で雇用を約束してくれ、入社したのに一週間持たず疲れたと言って退社という事態に。ここに至って、台中五寶爸の困窮は単なる自己責任だというレッテルが貼られ、「早くパイプカットしろ」という台湾国民の世論が形成されることに(苦笑)。

その後も子ども手当や補助を利用し広いアパートに引っ越し後、前のアパートの大家に退去時の掃除をせず、不用品を放置したと訴えられたり、台中五寶爸の妻が5番目の子供を火傷させたりと相変わらず問題を起こしマスコミに記事のネタを提供している状況。

でもオードリータンみたいな切れ者は台湾でも極少数で、台中五寶爸みたいな台湾人のほうが普遍的でしょうから、日本人の台湾に対するイメージはやはりという話かも知れません。東日本大震災後に日本企業の台湾進出や日本人の台湾移住がブームになったように、コロナ後も同じような状況が起こる事が予想されますがあまり台湾に過度の期待をしないほうが良いのかも知れませんね。

【業務週報2021/06】