先日発行された台湾のビジネス雑誌で「安い外国人労働者がいなくなる未来(沒有廉價移工的未來)」という特集が組まれ興味があったので早速ネットで電子版を購入。さらっと読んでみましたが、台湾の状況が日本の現状やこれから起こるであろう状況と酷似していると思うので少し紹介してみたいと思います。

人手不足の真相》5年以内に台湾に外国人労働者がやって来なくなるという人材業者の警告

台湾は日本とほぼ同時期の1992年に台湾人がやりたがらない3Kや人手不足業種がブルーワーカーの外国人労働者の受け入れを開始し30年で約70万人まで増加しましたがコロナ禍によりここ2年外国人労働者の受け入れが順調に行かなくなり人手不足に。台湾のブルーカラー外国人労働者はVIPTと呼ばれるベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの4カ国からやって来るのですがどの国も30年前と比べ格段と経済発展し台湾との賃金格差がほとんど無くなってきている。5年以内に台湾にやってくる外国人労働者なんていなくなるんじゃないのかという人材業者の話。台湾が5年なら日本は10年位で技能実習生や日本語学校専門学校の留学生がやって来なくなる可能性があると思います。

台湾史上最悪の人手不足 外国人労働者は安いというのは過去の事

コロナ禍による入国制限で外国人労働者が台湾にやって来れなくなり介護、農業、建設、製造業などで極端な人手不足状況に。台湾国内では外国人労働者の引き抜き合戦が起こり外国人労働者の賃金や人材業者に払う手数料が急上昇。先月台湾は外国人労働者の入国制限が解除されましたが隔離費用、高騰する航空券代、紹介料などで雇い主の負担額はコロナ以前の倍になったという記事。日本も国内の外国人労働者の奪い合いが起こってますし、入国制限解除後も隔離費用の負担が問題になると思います。

お金があっても外国人介護ヘルパーが見つからない

台湾では住み込み外国人介護ヘルパーが安く雇用できるため人気なのですが、コロナ禍による人手不足で売り手市場が到来し外国人介護ヘルパーが雇い主や仕事を選ぶように。法定の月給1万7千元(約68000円)では外国人介護ヘルパーを見つけることができず、介護ヘルパーのほうから賃上げを要求され、拒否すると疾走する、引き抜かれて転職される、雇い主に虐待されたと嘘をついて製造業などの介護ヘルパーより稼げる職種へ転職するという事態まで起こっているそうです。日本も介護職に就く外国人労働者は増えてますがやはり需要に供給が間に合っておらず給与待遇の良い会社、賃金水準の高い都市部に集中する傾向があると思います。

アジア人材争奪戦》日本は外国人労働者にも月給4万元を大振る舞い 台湾はまだ最賃以下

台湾日本韓国の三カ国が東南アジアからの若い労働力を奪い合う人材争奪戦が現在繰り広げられておりますが、日本は外国人にも日本人と同等の賃金を支払っているのに対し、台湾は最賃以下で外国人労働者を受け入れている。日本と台湾の外国人労働者の賃金差は2倍以上で日本が選ばれ台湾が避けられるようになってきているし、質の悪い残り滓のような人材しか台湾に来なくなってきているという話。日本も技能実習生や特定技能の低賃金が問題になってますが、台湾はもっと低賃金、ベトナム人労働者を横取りされた台湾は日本を恨んでいるのでしょう(苦笑)。

出稼ぎ労働者から移民へ 台湾も特定技能外国人制度を来年開始

日本は2019年に特定技能の在留資格を作り外国人労働者が長く日本で働けるようになりましたが、台湾も来年外国人労働者に家族の帯同を許したり永住許可ができるように優遇策を拡充、更には単純労働の外国人労働者が台湾就労11年で永住できるように制度を変更するという話。日本の特定技能の制度もあまり人気がないのが実情ですが、外国人に避けられるようになっている現状、定住永住を希望する外国人労働者はできるだけ囲い込んで少しでも少子化による労働者不足を解消したいというのが日本と台湾の本音ではないでしょうか。

まとめ

2020年のコロナショックにより東南アジアからの外国人労働者が入国制限で一時的に「来れなくなった」印象があるかも知れませんが、実際には東南アジアの新興国の経済発展による賃金上昇や少子化による雇用改善などで日本や台湾で働くメリットが薄れてきており「来なくなっている」のが実状で、コロナショックにより実状が表面化したと言えるかも知れません。少子化に歯止めのかからない日本も台湾も今後外国人労働者の受入れを続けていくには外国人労働者の給与待遇を上げ在留資格を安定させる必要がありますし、そのためにはまずデフレ経済を克服し自国民の賃金を上げていく必要があるのですが、上手くいくのかどうか。今後も日韓台の人材争奪戦に注目していきたいと思います。【業務週報2021/48】

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