10月1日に台湾北部の宜蘭という港町で街のランドマーク的存在だった築20年ほどのコンクリートの大橋が突然崩落するという考えられない事故が。さらに台風避難のため橋の下に停泊していた漁船3艘が押しつぶされ死者が6名も出るという大惨事に。最後に亡くなられた犠牲者に台湾人はおらず皆外国人労働者というありえない結末、何故このようなことが起こったのかと言うと。。

日本でもそうですが、一次産業の農業や漁業、建設業など自然を相手にする3K職種はそもそもキツい割に給料が少なく割に合わないため人手不足の問題を抱えており、なり手が少ない上に少子化で若者を雇用することが非常に難しいため外国人労働者の雇用、活用が非常に盛んです。日本だと漁業の技能実習生、台湾だと外籍漁工と言いますが労働者に占める外国人比率が非常に高い職種になっているはずです。このため台湾で起きた事故なのに犠牲者は外国人ばかりという状況になったわけです。

次に台湾における外籍漁工の給与や待遇の問題、台湾の漁業の外国人労働者は給料が最低賃金の上、漁船にはタイムカードがないため残業代や休出代などの手当が支払われることは無いそうなので、月給は2万3千台湾ドル位(日本円で約8万円程度)、その低い給料から母国にいる家族に生活費を送金、送金を増やすために陸上に下宿を借りず漁船に住み込む傾向が高いそうです。今回の事故は午前中に起こったそうですが、住み込みでなければ犠牲者はもっと少なかったかも知れません。また失踪防止のために陸上への上陸を禁止する悪徳な船主もいるそうです。

台湾の漁業の労働者はこのような状況から労働法無視の長時間労働や労災の多発、さらにはチョウザメ、イルカやウミガメなどの密漁、漁船員同士の喧嘩や私刑の発生(遺体を海に投げ捨ててしまえば事故として処理可能)などいろいろな問題が起こっており、台湾の恥と呼ばれております。サンマの不漁が今年は話題になっておりますが、台湾の漁船に乗る外国人労働者の蟹工船のような重労働で取り尽くされてしまっている面もあると思います。

今回の事故により台湾の外国人労働者の劣悪な労働環境、住環境が少しでも改善されればと思います。台湾の方たちが安く魚が食べられるのも外国人労働者のおかげなのですから。【業務週報2019年10月第2週】