少子高齢化で人口減少と人手不足が止まらない我が国では目下外国人労働者の受け入れが国策で積極的に進められておりますが、我が国と送り出し国との賃金格差の解消や超円安、物価高騰、国際人材獲得競争などにより昔と比べると外国人労働者の数は増えましたが質や能力の面では疑問符を付けざる得ない人材が多く入っている状況だと思います。
外国人労働者への不満やクレームでまず多いのは彼らの「日本語能力」だと思いますが1990年代に主力だった日系2世の労働者は読み書きはともかく日本語会話能力は問題ありませんでしたし、日本語が話せない3世の受け入れが増えた2000年代に受け入れが盛んになった中国人の技能実習生や勤労私費留学生も若く漢字圏出身だったこともあり来日数年で日本語が習得できていたと思います。
リーマンショックや東日本大震災で来なくなった中国人労働者の代わりに2012年以降我が国はベトナムを始めとするアジア諸国から我が国は技能実習生や勤労私費留学生の受け入れを始めましたが、当時技能実習の在留資格には日本語要件はありませんでしたし、今より日本語が要らない単純労働的な職種が多かったですし、当時技能実習生は3年限りの使い捨て労働者と捉えられていたのでアベノミスク下でもそれほど外国人労働者への日本語能力低下が問題になることはなかったと記憶しております。
流れが変わったのは2019年に特定技能1号の在留資格が始まったころ、技能実習生2号終了者は特定技能に試験免除で移行可能ですが、試験合格で特定技能の在留資格を取得するためにJLPT N4以上の日本語能力が要件とされたのですね。同時期に始まった介護の技能実習や成年日系4世のための特定活動の在留資格もJLPT N4以上の日本語能力が要件とされましたし、このころから在留資格と日本語能力が紐付けられ、「日本に在留する以上最低でもN4以上の日本語能力が必要、日系人でも優遇はしない」という合意が政府や法務省内で形成されたのかも知れません。
このように日本の外国人労働者は増える一方ですが、各地に外国人コミュニティーが出来て日本人社会との間に壁が出来てしまい、実際には日本語が出来なくても日本の文化風習を守らなくても日本で生活や就労出来てしまう状況が作られつつあり、いろいろなところで軋轢が起きていると思います。代表的なのはブラジル人が多く住む愛知県豊田市の保見団地、中国人の多く住む埼玉県川口市の芝園団地、そして同じく川口市のクルド人コミュニテイーでしょうか。長くなってしまったので次回続きを。【業務週報2024年3月第2週】