相変わらず利用率が低迷している日系4世の告示43号特定活動の在留資格ですが、実績を作らないことには何も前に進まないということで「日本人のひ孫を日本によぼうプロジェクト」、ブラジル側からみると「ひいお爺さんひいお婆さんの母国日本に行こうプロジェクト」という計画をブラジル側の送り出し機関や日本語学校とタイアップしてスタートさせてみることに。

先日ブラジル出張した際に現地の協力者の方々に説明と打ち合わせをしてきたのですが、3世や2世3世の配偶者に与えられている定住者の在留資格には無いさまざまな問題があることが判明。

まず定住者の特定査証や在留資格認定証明書交付申請ですと日本に住所がある家族親族が申請代理人と身元保証人となって申請人である日系人を日本に呼び寄せますが、日系4世特定活動の在留資格の場合、「受入れサポーター」が申請代理人となり在留資格認定書交付申請をするような制度となっています。受け入れサポーターは非営利団体(株式会社等は不可)または日本人または永住者の外国人個人がなりますが2ヶ月に1度日系4世に連絡を取って日本語や日本文化の習得状況と就労状況を確認する必要があります。また個人が受け入れサポーターになれるのは日系4世3人まで、日系4世からは手数料や報酬を受け取ってはいけないという縛りがあります。日本に家族や近い親族がいない4世ですとまず受け入れサポーターが見つからないという問題が考えられるのですね。

次に費用の問題ですが、日系4世特定活動の場合、帰国旅費や来日当初の日本での生活費を証明する銀行残高証明書、健康であることを証明する健康診断書などこれまた定住者の在留資格認定証明書交付申請では必要とされない書類が必要となります。日本での就職先が決まっていて雇用内定書が入手できれば良いですが、これまた日本に家族や仲の良い親族がいない4世ですと困難が予想されます。

最後は日本語能力の問題です。在留資格取得の要件として入国時JLPT N5合格(J.TESTも利用可)、在日歴のある4世は日本の小学校中学校高校大学などに1年以上在籍していたことを証明する卒業証明書や成績証明書などのコピーが必要となり、来日1年目にJLPT N4、3年目にJLPT N3、5年以上日本に滞在を希望する場合JLPT N2相当の日本語能力試験に合格し定住者に在留資格を変更する必要があります。

在日ブラジル人の日本語能力が低い理由が定住者の在留資格には日本語能力が紐づけされておらず、彼ら自身も給与待遇の良いわりに日本語能力不要な自動車製造などの製造業に従事しているためですが、特定活動の在留資格の日系4世が日本で同じ生活を送ると5年で母国に帰国を余儀なくされるという事態に。デカセギならそれでも構いませんが日本に移住永住しようとする日系4世は日本語学習頑張らないといけませんし、サポーターも伴走しないといけないのですね。

ということで先日入管局に「日本人のひ孫を日本によぼうPJT」の申請をしてきましたが(日系4世の告示43号特定活動の在留資格はオンライン申請不可)、プロジェクト第1号はリーマンショックで帰国を余儀なくされ母国で成人となってしまった日本育ちの4世で「日本文化と日本語を極めたい」と日本再来日を希望する優秀な子(苦笑)。彼が今年無事に来日し5年後どうなっているか今から楽しみです。

日本では残念ならがイメージ評判の悪いブラジル人ですが、ブラジルには約2百万人の日系人がおり現在は4世がもっともボリュームがあるはず、超円安や物価高騰で質が落ちたり日本離れしているアジアからの外国人技能実習生や特定技能外国人より遠くの親戚日系4世という考えに賛同できる企業、日系4世の雇用に興味のある企業、日系人と交流してみたい日本人、サポーターを無償で引き受けられる方がおられましたらお気軽にお問い合わせください。【業務週報2024年6月第4週】

超円安で分かる真の親日外国人