先日愛媛の縫製工場で働いていたベトナム人技能実習生が2年間支払われていなかった残業代2700万円を支援団体を通じて勤務先に請求したところ、その会社が破産に追い込まれるという痛ましい報道が。計画倒産なのかも知れませんが糸へん縫製業の場合単価が考えられないほど低いので、昔だったら内職で外注したり従業員にサービス残業させていた作業を内製化して法律通りに賃金を払っていると潰れてしまうというのはありえる話だと思います、つまもの農業のパック詰め作業なども同じ構図ではないでしょうか。

この潰れた会社は大手アパレルメーカーの孫請けだったそうですが、支援団体がマスコミを集めて支援を呼びかけたところなんとその大手アパレルメーカーが支援団体に500万円を寄付するという申し出をしたそうでビックリ、今まで散々下請け孫請けをまともな給料払えないほど買い叩いていたはずなのに、マスコミ沙汰になるとすぐに寄付金という名の解決金を技能実習生ではなく支援団体に支払ったというのは、その寄付金は口止め料だったのではないかと穿った見方をしてしまいましたがいかがでしょうか。

今年超円安による物価高騰と仕送り目減りで外国人技能実習生の日本離れが本格的に始まりましたが技能実習生の場合、最賃ベースの賃金の安さとともにパワハラやセクハラ、強制帰国や妊娠出産解雇などの人権侵害も問題となっていて、賃金待遇が悪く日本人労働者が寄り付かないような斜陽産業の零細企業が技能実習制度を活用し延命措置を受けているという状況で理念と実態の乖離が激しくなりすぎ見直しの議論や廃止論まで出ているのですね。

お隣の台湾も少子化で人手不足を解消するためいわゆるVIPTからの外国人労働者の活用が盛んですが、日本同様外国人労働者の賃金トラブルや人権侵害、それに派生して失踪や外国人犯罪の問題が起こっています。特に問題の多いベトナム人労働者ですと今では受け入れるメリットよりデメリットのほうが多いという状況かも知れません。

ただ台湾の政治家や役人は日本の政治家や役人と違ってこういう現状を何とかしたいと思っている人が多いようで、今まで最賃割れの低賃金長時間労働で失踪が多かった住み込み外国人介護ヘルパーの賃金も今年政府主導でベースアップしましたし、今年始めた台湾版の特定技能制度でも日本より早く外国人労働者が台湾に永住できる制度を作り上げました。それに比べると日本は何か大きな問題が起きないと政治家も役所も動きませんし、利権や利益がないと人も動きませんし、制度や仕組みを先に作って手直ししながら物事を進めていく台湾人との考え方の違いを痛感されられますが外国人労働者が日本を捨てて台湾に行き先を変えるのも無理はないかなと痛感させられた今回の事件でした。【業務週報2022年12月第2週】

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