先日台湾と日本のビジネス雑誌を立て続けに読んだのですが内容が図らずもリンクされているようで面白かったので紹介してみたいと思います。
「廉價日本危機與商機(安い日本の危機とビジネスチャンス)」という特集が組まれた台湾のビジネス雑誌ですが、今月末に銃撃事件でお亡くなりになられた日本の安倍元首相が2010年代に行ったアベノミスク下で「安い日本」が進行、さら今年に入っての超円安で「三割安の日本」が実現してしまったという内容、熊本に製造拠点を建設中の台湾の大手半導体企業もそうですが超円安で進出コストも割安になっているでしょうし、低賃金でもストライキも起こさず仕事もサボらず黙々と働く優秀な日本人労働者が超円安で更に安い人件費で雇用できるというのも日本進出のメリットだと思います。
続けて読んだ「日本を目指す外国人労働者 これ以上便利使いするな」という特集の日本のビジネス雑誌、技能実習制度や偽装留学生など相変わらず問題が頻発する我が国の外国人労働者受け入れですが、低賃金に加え超円安で外国人労働者の日本離れが始まってる、もう安くて質の良い外国人労働者は日本に来ないし賃金待遇を上げないと日本に来なくなるという内容でした。
日本と台湾は同じく少子高齢化が進んでおり、現在人手不足解消の手段として外国人労働者を多く受け入れ人材争奪戦になっています、台湾は1990年代からアジアから移工や外配を受け入れてましたが、日本はリーマンショック、東日本大震災で減って来なくなった日系ブラジル人労働者や中国人技能実習生の代わりにアジアからの技能実習生や留学生の受け入れに転じ、それまで主に台湾に行っていたベトナム人労働者を分捕ってしまったのですね、当時は円も強かったですし、日本と台湾では賃金格差が大きかったですから。その後アベノミスク経済で足りない人手不足解消のために技能実習生や留学生の活用が進みましたが、外国人観光客受け入れのため同時に円安が進行、台湾政府は最低賃金を大幅に上げる政策を実施しついに日本の賃金が台湾に抜かれるという事態になってしまったのです。
超円安とコロナ不況で手取り月給10万円の日本と半導体景気と残業規制が少なく月3~4万元稼げる台湾を比べたら、日本語や日本の優れた技能を習得できるという技能実習制度の建前上のメリットを考慮しても台湾行きを選択する外国人労働者が多いような気がします。日本は日本人労働者を含め賃上げを真剣に考えるときかも知れませんね。
【業務週報2022年8月第1週】