台湾ドラマ「八尺門的辯護人 PORT OF LIES」を全話鑑賞したので今回もその感想を。

台湾ドラマ「八尺門的辯護人 PORT OF LIES」

日本もそうですが台湾でも台湾人に厭われる3K職種では外国人労働者の活用により労働力の確保や産業の延命措置が取られていますが自然が相手で死亡労災事故の多い危険な漁業はその代表格、このドラマで最後に死刑になってしまったインドネシア人労働者も雇い主の台湾原住民から虐待を受け、失踪防止のためにパスポートを取り上げられ母国に帰れなくなったことが雇い主一家3名殺害の原因だったという日本で2013年に起こった江田島中国人研修生8人殺傷事件を彷彿させるようなストーリーで見ていて最後の方は気分が重くなりましたね。

弁護人側は何とかしてインドネシア人労働者の死刑を回避しようと奔走するのですが、台湾の漁業の外国人労働者受け入れには巨大な利権構造があるようでこのドラマでも自分たちの利権を奪われないために資本家が政治家や司法を裏で動かして死刑判決が出るように仕向るのですね、ここらへんも役人や政治家の利権で成り立っていると言われる日本の技能実習制度と似ていると思いますがいかがでしょうか。

前回このドラマが「和春61號案」をモデルにして作られたと書きましたが、もう一つ1986年に起こった「湯英伸事件」もモデルになっているそうです。台湾嘉義出身の優秀な若い原住民の若者が西洋料理のコックになるために台北に上京、しかし騙され台湾人経営のクリーニング屋に就職したところブラック企業で原住民だと差別され日常生活に必要な身分証を取り上げられ給料はピンハネされで入社9日目に雇い主とその妻、2歳の子供3人を殺害し19歳で死刑にされた事件だそうですが、このドラマのストーリーとそっくりだと思いました。

日本ですと出自に由来するあからさまな差別は今だと外国人差別くらいしかないと思うのですが、台湾だと少なくとも台湾人(の中にもいろいろあり)、原住民(の中にもいろいろあり)、新住民、移工(の中にもVIPTの四ヶ国あり)の4種族は私でも見分けが付くくらい時には反目し合うので解決が難しい問題なのかも知れません。

この台湾ドラマ、内容は重いですがリアリティーがあるせいか台湾での評判は結構良かったそう、台湾の裏や闇を知りたい台湾マニアの日本人も鑑賞をオススメします。【業務週報2023年9月第1週】