先月台湾の台中市で非常に複雑で謎が多い不審死事件が起きましたのでややこしいですが解説を試みてみたいと思います。
発端は台湾台中に住む有名大学への進学が決定していた18歳の高校三年生の男子のマンションの10階からの飛び降り自殺なのですが、何と自殺の2時間前に知り合って数回しか会ったことのない20代の男性と同性婚をしていたそう。さらにその男性の父親は地政士という不動産の登記をする日本でいうと司法書士のような仕事をしていたそうなのです。
この不審死事件が起こった後、高3生の中国籍の母親と委任を受けた弁護士が会見を開き、高3生が同月に亡くなった祖父から時価5億元(20億円以上)の不動産を贈与されていたこと、高3生に自殺する理由は無く5億元目的の他殺であること、容疑者は不審死の2時間前に駆け込み婚をしていた地政士の息子であることを告発、台湾のマスコミやワイドショーが大騒ぎする事態となりました。
その会見ではもう一つ驚くべきことが明らかに。なんと不審死した高3生の父が祖父だったというのです。精米業と金融業で財を成した祖父は障害のあった自分の息子を2回国際結婚させ息子の嫁を手籠めにして2人に1人づつ子供(法律上は孫)を産ませていたというのです。
書いていてクラクラしてきましたが、台湾マスコミの追跡取材で更に驚くべき問題が。息子の不審死を追求していた高3生の中国人母ですが以前は台湾に帰化して台湾国籍を持っていたそうなのですが、祖父との不貞行為を夫の家族から訴えられ前科が付いて帰化が取り消され無国籍状態というのです。家族側からすると中国人母の告発も5億元の遺産目的というオマケ付きです。やはり相続が争続に。
この未だかつてない複雑な5億元の遺産の行方ですが、台湾の法律ですと原則、配偶者である地政士の息子に半分、母親に半分づつ相続されるそうなのですが、ここでも問題が。なんと台湾人と国際結婚した大陸中国人に限って台湾人の遺産は200万元までしか相続できないという規定が存在するというのです。そうすると同性婚した地政士の息子が4億9800万元相続で一人勝ちということになりますが、そもそも地政士と息子が5億元目当てで犯行に及んだとなると婚姻自体無効となり地政士の息子は相続人では無くなる一方、高三生の中国人母は現在無国籍で中国籍ではないので規定を受けることなく5億元を独り占めできることになりますが。
台湾と深く関わった日本人なら分かると思いますが、台湾人は家族親族関係がドロドロしていますし、お金が絡むと平気で人を攻撃することも厭わないようなところがあります。この台湾台中五億高三生不審死事件はそんな台湾人の国民性の悪い部分を象徴しているような事件なのかも知れませんね。【業務週報2023年6月第4週】