先々週の記事の続きです。コロナ以前のノービザで自由にLCCで安く海外に行けた当時、観光ビザで海外に渡航しブログのアフィリエイトやユーチューブなどで小金を稼ぐ海外ノマドという働き方が一部の日本人の間で流行りました。この場合、所得が発生していれば日本で確定申告し納税するのは当然ですが、渡航先現地でのビザや納税の問題も発生するはずですが、ほとんどのブロガーやユーチューバーは確定申告も納税もビザや労働許可の問題も蔑ろにしていたと推測されます。自作自演が容易なSNSで喧伝されるほど海外ノマドが儲からないという事実もあるでしょうし、リモートワークですと不法就労での摘発も難しいという事情もあると思いますが。
一昔前、中国人旅行客が日本に来て日本製品を買い漁る「爆買い」が流行りましたが、これも単なるお土産の購入では無く実際は転売目的、中国で日本製品を売るための仕入れということで問題になりました。本気で爆買いビジネスをやろうとする中国人の中には日本で会社を設立し経営管理の在留資格を取得し、日中間の自称貿易事業に参入するものも現れましたが、このスキームもいろいろ問題が起きて結局入管局の規制が入り在留資格自体が出なくなり下火に。こういう時代の最先端を行く裏技商売は常にそれを規制する当局とのいたちごっこなのでしょう。
現在いたちごっこ中なのが在日ベトナム人のSNSを活用した違法副業、一応留学や技能実習の合法的な在留資格を持っているのですが、前者は資格外活動許可があっても週28時間という時間制限が、後者は原則副業できないのに関わらず、コロナ不況でアルバイトが減ったためか、技能実習生は残業が無くなり稼げないためか、SNSで同国人相手に母国の食品や偽ブランド品、偽造在留カードや各種証明書、違法麻薬を売る副業が目下大流行で当局の摘発を強化しています。これはビザの面は問題ないが資格外の不法就労と違法ビジネスで現地での納税に問題のあるパターンですね。
このような違法な状況やグレーなビザや納税の問題を解決するために海外在宅勤務者のためのデジタルノマドビザ(リモートワークビザ)や起業のためのスタートアップビザの優遇制度を設けている国もいくつかあります。ただリモートワークビザの要件を見ると母国の勤務先から支払われる給料設定が結構高く一般人ブロガーやユーチューバーでは取得が困難だと思います。やはりこういう制度は現地での納税や消費ありきで作られているはずですから仕方がないでしょうが。
デジタルノマドビザが取れない海外ノマドの方々は最終手段としてスタートアップビザの制度を利用し現地で法人を設立し投資や現地人の雇用や納税などの要件(国によって違う)をクリアし労働許可を取得するしかないのですが、やはり初期投資が結構かかりますよね。日本の場合、外国人投資家の呼び込みや経営者育成のためのスタートアップビザ優遇策をいくつかの自治体がやっていて通常より簡易に経営管理という在留資格が取れるようになっていますが。
面倒なのも納税したくないという気持ちも分かりますが、違法状態で海外ノマドされている方々は問題になる前に現地の専門家に相談し、自身のビジネスに問題のないことを確認されることをオススメします。自分が正しいという独りよがりな思い込みは日本でも海外でも通用しないと思いますよ。一番簡単なのは現地人と国際結婚することだと思いますがそれも偽装婚という問題が(苦笑)。【業務週報2022年2月第3週】