定住者の在留資格が得られず日本に長期滞在できない成年者の日系4世を受け入れるために2018年7月に作られた「日系四世の更なる受け入れ制度」ですが、日本語能力要件がネックとなり年間4千人の人数枠に対し入国者が2年でわずか87名。この低い利用率を改善するために今年始めにパブリックコメントが募集され3月に法務省告示が改正されることになりました。
以前の法務省の告示では「入国時日本語能力試験N4合格」が要件でしたが、今回の改正で「N5相当」に緩和され成年者の日系4世の長期滞在が以前と比べ現実的になってきました。世界で日系人が多い国はブラジル、フィリピン、ペルー、インドネシアあたりでしょうが、どの国も新型コロナウイルスやロックダウンにより経済が疲弊し雇用が無くなったりで日本に来たい日系人、日本で働きたい日系人は多いですから朗報であることに間違いは無いでしょう。
ただ日系4世の受け入れ制度の場合、4世の日本での生活サポートをするのが技能実習制度の監理団体、特定技能制度の登録支援機関のような団体や企業ではなく「日系人サポーター」というボランティアの個人なのでどこまでサポートできるのかというのは疑問符が付きますね。監理団体や登録支援機関も技能実習生や特定技能労働者を支援していないところが実際多いですし、日系人の場合、日本で派遣労働者になることが多く転職や雇い止めが結構ありますし、住むところも勤務先や派遣会社の寮ということが多いですから。
今コロナによる入国制限で留学生や技能実習生、特定技能の外国人が入国できず人手不足に陥っている企業が多いと聞きますが、受け入れの手間を考えると日系人労働者は技能実習生や特定技能外国人のように面倒煩雑でもないですし、本当の労働者なので優秀な日系人労働者は正社員に、普通の日系人は派遣やパート、問題のある日系人はというふうにドライな対応ができます。優秀な技能実習なのに5年で帰国させないといけない、問題技能実習生なのに解雇できない、一生懸命世話していたのに失踪されたという技能実習特有の問題は無いですから、東海地方だけで言うとマトモな企業ほど技能実習生より日系人労働者を雇用しているという感触が私にはありますが。
コロナの入国制限もあり今回の告示改正で何万人、何十万人の日系人が来日できるのか今のところ不明ですが、20数年日系人労働者と付き合い縁もありますのでしっかりサポートしていきたいと思います。日伯両国でコロナが終息し早くブラジル出張できると良いのですが(苦笑)。
【業務週報2021/17】