先月末にイギリスのエセックスで大型トレーラーの冷凍コンテナから39名の凍死体が発見されたという悲しく痛ましいニュースが流れました。被害者は当初中国の(偽造)パスポートを持っていたことから中国人の密入国者との報道がされましたが、犠牲者の家族からの告発でベトナム国籍であることが判明、結局39名全員がベトナム人の若者であることが正式に発表されました。

最初から怪しいと思ってましたが、コンテナに隠れて密入国というリスクが大きい行動を、経済発展し所得が上がり、情報もそれなりあるであろう現在の中国人が行うというのは考えられませんでした。中国人だったら今別に海外移住しなくても地元でそこそこの生活できるでしょうし、実家が太ければ留学でも投資移民でもイギリスに合法的に行けるのではないでしょうか。当初中国人が犠牲者という発表が警察からなされ、「中国叩き」の絶好の材料になったためにこのニュースが予想以上に世界的に拡散したように思われます。

今回犠牲になったベトナム人の若者たちが高額な密入国費用をブローカーの蛇頭(スネークヘッド)に払っていたことも気になりました。親が土地を売ったり銀行や親戚から借金したりして密入国費用を捻出したそうです。また犠牲者の一人は日本で3年就労した元技能実習生、帰国後今度はイギリスに不法移民としてデカセギに行くという行動は日本人の私には頭を捻らずをいられません。日本で技能実習3号でもう2年働くとか、特定技能でもう5年働くという選択肢もあったはずですしそのほうが安全だったはずですが魅力が無かったのかも知れません。またそれほどホーチミンやハノイ以外のベトナムの田舎というのは階級社会で閉塞しており、ベトナムの経済発展から取り残されており、まだまだ労働力人口に見合った雇用が無いのかも知れません。ベトナム人労働者が合法的に就労可能な国は日本、台湾など買い叩かれて稼げない国ばかりですからね。

日本も経済成長する以前の明治大正昭和40年位までは農村で人が余っていて人減らしのために半ば騙して中米南米、フィリピン、満州などに国策で移民を送り出しましたが、ベトナムは現在その真っ只中、このような悲惨な事故が再び起きぬようベトナム政府は過度な労働力輸出を慎んでもらいたいと思いますし、ベトナム人の若者や家族には安易に海外への就労を考えないようにしてもらいたいと思った次第です。亡くなられた方、遺族の方には心よりお悔やみ申しあげます。【業務週報2019年11月第1週】