昨年2022年の年末に愛知県に住む日系ブラジル人女性が住所のある自治体に生活保護を申請したところ「外国人は生活保護を受給できない」という虚偽の説明を窓口で受け、「母国に帰ったほうがよい」というアドバイスをされ生保受給を断られ、結局支援者が同行し受給できたという事件が起き、案の定SNSで炎上する事態に。外国人に生活保護を受給させるとはけしからん、生保を受給する外国人は母国へ帰れという意見が多かったと思います。

この日系ブラジル人の女性、日系3世で在留資格は定住者、在日10年だそうで結構長いのですが、旦那さんがコロナ不況で失業し無免許運転で逮捕、小さい子どもさんが二人いて仕事にも就けず、有り金4千円となりどうしようも無くなり生保受給申請に行き着いたようです。定住者の日系人労働者は技能実習生とは違って職種や日本での活動に制限が無いので若くて健康で労働意欲があり自動車工場で夜勤残業休出すれば日本人以上に稼げるのですが、この女性のように小さい子供がいたり、労働意欲が無かったりすると生保受給や犯罪など悪い方向に向かってしまう傾向があります。

在日日系ブラジル人の場合、家族や親族、宗教などコミュニティー内にいろいろなセーフティーネットがあり、隣人愛の思想があるキリスト教徒が多いためか他のエスニック集団より助け合って日本で生活していると思うのですが、経済的な問題だと限界がありますし、ブラジル人の中にも日本の負担になりブラジル人のイメージを悪くする生活保護受給をよく思わない人たちがいるのでなかなか難しい問題だとしか言いようがないのかも知れません。

本来は人手不足解消や納税などで日本に貢献することを要件に日本への入国在留が許されている外国人労働者が生活保護を受給したり犯罪を犯したりして日本の負担になるのは本当に本末転倒な話なのですが、我が国の外国人雇用の場合外国人労働者を雇いたがる企業に限って日本人労働者に敬遠されるブラック企業であったり外国人労働者を使い捨てにする企業であったりという問題がありますし、在留資格定住者の日系ブラジル人と違って生活保護が受給できない技能実習生が生活に困窮して犯罪に手を染める事件が多発している現状を考えると外国人労働者を受け入れる際のリスクである外国人の生活保護受給自体が外国人犯罪を食い止めるセーフティーネットになっていると思うのですが。

円安による送金の目減りや母国の経済発展による賃金格差の解消により技能実習生の日本離れが鮮明となった今、日本に働きに来てくれる定住者の日系人労働者は貴重な存在だと思います。ほとんどの日系人労働者は1990年の受け入れ以降日本で真面目に働き日本社会に多大な貢献をしているはずですし、受け入れる日本側が日系人労働者を困窮させ生活保護受給まで追い込まないようにすれば外国人の生活保護受給問題は解決するはずですから。【業務週報2023年1月第2週】

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