10月4日はブラジルで「パステウの日(Dia do Pastel)」らしいので今回はその話題を。パステウというのはブラジルで国民的人気の四角い揚げ菓子というか軽食スナックで日本では見たことも無い食べ物なのですが何故か日系人が作っているお店や屋台が多くブラジル人では日本食だと思われている不思議な食べ物。サンパウロ市の東洋人街でもお店や地下鉄駅前の広場の屋台で沢山売られています。

このブラジルで作られたパステウの歴史についてのニュース動画によると、パステウの起源はアジアで中国の揚げ春巻と日本の揚げ餃子が混ざり合って出来た料理、ブラジルに伝播されたのは1940年代でアジア太平洋戦争を嫌ってブラジルに移住した日本人移民が伝えたとのこと、当時ブラジルは連合国側だったのでドイツの同盟国だった日本人移民は差別を受けないように中国人のふりをしてパステウを屋台で売ったのが起源と語られていますが事実とは大分異なるような気がしますがいかがでしょう(苦笑。

私の推測ですが日系人のパステウ売りが流行り出したのは1940年代ではなく太平洋戦争後。戦後ブラジルに渡った日本人移住者も農業移民が多かったと思いますが、ブラジルでの農業経営に失敗したり、あまり農業に興味の無い移住者が多く都市部に出て手っ取り早く現金が稼げる屋台商売を始めることに、しかし寿司やラーメンは素人には作るのが難しいし食材が無いし寿司ブーム到来の前のブラジル人は刺し身や生魚も気味悪がって食べなかった、ということで現地で手に入る食材を使って簡単に作れる「創作日本料理」、「空想上の日本料理」、もっと言うと「ニセ日本料理」のパステルが作り出されたのではと思うのですがいかがでしょう。

こういう例は結構あって、例えば「台湾ラーメン」は既に日本で市民権を得た台湾料理だと思うのですが、この料理ももともと台湾には存在しません。起源は名古屋の台湾人経営の中華料理店がまかないとして作っていた担仔麺を真似たラーメンをメニューに加えてたら客の間で人気になり名古屋メシの一つに、それをまた中国人経営の中国料理店が真似て日本全国に伝播したのですね。今日本全国で激増しているネパール人経営のインドネパール料理店も提供される料理はインド料理でもネパール料理でも無く創作料理が多いそうですし。

料理の成り立ちにも歴史があって興味深いですが、移民が移住先で生活のために母国料理の飲食店をやるケースは古今東西多いでしょうし、現地で調達できる食材や調理師の技能の関係で新たな料理が作られるというのも面白い現象、日本に無い日本の食べ物パステウも在日ブラジル人をターゲットにしたブラジル料理店や食材店では売ってますので興味のある方はご賞味してみてください。【業務週報2024年10月第2週】