(前回からの続き)アベノミスクの好景気を影で支えたのはベトナム人技能実習生、偽装デカセギ勤労苦学留学生、偽装難民という3種の外国人です。

日本の外国人雇用30年を振り返る(その1)

 

技能実習生雇用の旨味は最低賃金程度の安月給で若い労働者を雇用できる、制度的に転職が出来ないので日本人や定住外国人が逃げ出すブラック企業や職場でも失踪されたり途中帰国させない限り3年間は定着するの2つでしょうが、日本と技能実習生の送り出し国との賃金格差が縮まったり無くなったりすると技能実習生の供給が悪くなったり、質が落ちるという欠点があります。第二次安倍政権によるアベノミクスが始まった2012年以前は中国人技能実習生が多かったのですが、中国の経済発展による賃金上昇により中国人技能実習生の送り出し能力が技能実習生の需要より下がり、質の悪い技能実習生が入ってきて問題が起こったりしたため当時の監理団体や実習実施機関(受け入れ企業)は中国人技能実習生を敬遠し出し、ベトナムの技能実習生にシフトするようになったのですね。ベトナムの技能実習送り出しは中国とよく似ていて、高額な渡航費用や保証金を徴収しよく働きかつ失踪を防ぐという方式が取られているようで、受け入れ当初のベトナム人技能実習生の評判は中国人技能実習生と比べ非常に良かったと記憶しております。アベノミクスで人手不足が激しくなるにつれベトナム人実習生は2020年まで激増することになります。

技能実習生は職種の制限があり、アベノミクスの恩恵を受けインバウンドバブルの人手不足でも宿泊業や飲食業は技能実習生を雇用することが出来ませんでした。そういう業種で人手不足解消の切り札として着目されたのが外国人留学生です。我が国にやってくる留学生は国費私費に関わらず勉強や研究を主目的に来日する真面目な留学生と日本でのアルバイトで日本での生活費と学費を工面し卒業後は就労ビザを取得し日本への移民を目指す苦学勤労留学生、更に当初から就労目的、または最初は勉強が目的だったのがアルバイトが主体になってしまう偽装留学生、留学生くずれの3つに大別されると思いますが、苦学勤労留学生や偽装留学生、留学生くずれが労働力として活用されたのですね。

人手不足解消のためにベトナム人技能実習生や留学生の受け入れが進むにつれ、失踪する技能実習生や退学除籍になる留学生も急増しました。不法滞在でも人手不足が激しかったので容易に不法就労先が見つかったのですね。また偽造の在留カードを行使しなくても、明らかに難民ではない技能実習生や留学生が入管局に駆け込み難民認定を申請すれば6ヶ月の就労可能な在留カードが2018年の厳格化以前にはもらえたのです。合法的に働くことのできるこの「難民ビザの外国人」は人手不足解消の手段として重宝されることになりました。

このように技能実習生、留学生、偽装難民に下支えされたアベノミクス、第二次安倍政権は2020年夏の東京オリンピックにその頂点を迎えるはずでしたが、2020年初頭に中国武漢で新型コロナウイルスが発生、我が国でも1月に感染者が確認され、中国人旅行客が押し寄せる2月の春節休みに中国人旅行客が日本に来ないという異常事態が発生しました。

(長くなったので次回に続く)

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